お茶室まめ知識

こんにちは!
前回はお茶の基本的な部分についてお話ししました。
お茶といえばお茶室でのお茶会でしょ?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

そこで今回は、お茶会の会場にあたるお茶室について、特徴をそれぞれ見ていこうと思います。
お茶室は、一般的な家と違う特徴もたくさん持っています。
お茶室にどんな特徴があるのか知っておくと、お茶会に招かれたときにもっと楽しく過ごせるかもしれません。

日本茶室のはじまり


日本のお茶の歴史のなかで一番イメージしやすいのは千利休ではないでしょうか?
それでは日本の茶道を始めたのは千利休なのかというと、実は利休にも師匠にあたる人たちがいまして、その考え方を受け継いで利休流の茶道を確立させています。
茶道の創始者は村田珠光という人で、お茶を通して精神を統一していくという、お茶と禅とのつながりを広めた人です。この人が、お茶室の基本形といわれている四畳半茶室を成立させた人です。その村田珠光の孫弟子が利休の師匠にあたる竹野紹鷗という人でした。お茶室をより質素にしたり、茶器も日本でつくられたものを選んだり、日本の禅の精神性という部分を深めていったそうです。
弟子の千利休も、禅の心を反映したお茶室の形を模索していました。二畳のお茶室を作ってみたり、壁を煤で黒くして部屋をほの暗く、非日常の空間としての演出をしたり。一方で、露地をつくったり、日本の茶室に窓をとりいれたのも利休が初めてだったといわれたりもします。
せまいお茶室のなかでお茶をはさんで向き合った人と人が、心を通わせるのによりふさわしい空間を求めていたのだと思います。
歴代の茶人たちが、茶の湯の世界に最もふさわしい建築様式を求めて何度も試行錯誤を重ね、少しずつ姿を変えてきたのが日本の茶室だと言えるかもしれません。

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お茶室のつくりを知る


お茶室によくみられる建築構造をまとめてみました。
お茶室に行ってみる機会があれば、この特徴に会うものがあるかチェックしてみてください。

・亭主と客人


お茶室でお茶会を開く際には、お茶会に招く立場の主催者(亭主)と招かれてやってきた招待客(客人)が参加します。亭主は一人ですが、客人は身分の高さやその場の責任などによって、正客、次客など、役割があることもあります。


・躙口(にじりぐち)


お茶室における、客人の出入り口です。
間口が小さくつくられています。この理由としては、茶室の空間では身分の上下を問わず誰もが頭を下げて茶会を開いた亭主のもてなしへの礼をつくすという意味や、武士が刀を持って入らないようになどの意味があるそうです。躙り口のそばの壁面に、外した刀をかけておく刀掛けがつけられた茶室もあります。


・貴人口


立ったまま出入りできる戸口のことをいいます。高貴な身分の方や、外国からの来賓、お年寄りの方などが茶室に出入りする際に使用します。躙口と貴人口の両方をもつ茶室もあります。


・露地


お茶室に面している庭です。この露地の飛び石を歩いてやってきた客人がお茶室に入ります。


・点前座と客座


畳には、あらかじめお茶会を開いた亭主が座る場所と、お茶会に招かれた客人が座る場所が決まっていることが多いです。亭主が座る位置を点前座、客人が座る場所を客座といいます。


・炉


お茶を淹れるためにつかう炉です。点前座に接する位置にあります。亭主は炉に向かってお茶を淹れてから、客人に向き直ってお茶をご馳走します。


・天井


点前座と客座の上を見上げると、天井の高さやつくりが違うことがあります。
例えば、点前座の方が一段低くなっていることもあります。これは、落ち天井といい、お茶会を主宰する亭主が客人に気持ちよく過ごしていただけるように、へりくだってもてなすという心構えを表したものともいわれています。ほかにも、天井に使われている材木の貴重さによって、正客と次客の上方の天井が異なる場合もあるようです。天井に使われる素材には、葦(あし)、蒲(がま)、竹など様々な種類があります。
あえて天井をつけず、屋根裏を天井としてきれいに整えた様式の屋根裏天井とよばれる天井もあります。傾斜がついている天井を駆け込み天井と呼びます。


・床柱


床の間の柱に使われている太い木です。
お茶室にとっては重要な木で、この床柱の良し悪しがお茶室の格を決めるともいわれています。


・床の間


床框(とこがまち)がつけられ、一段高くつくられていることが多いです。
床框がない床の間を踏み込み床と呼んだりもします。
禅の言葉の掛け軸を飾ったり、竹の花瓶に季節の花が生けられているところもあります。


・窓


下地窓
かつてお茶室を作る際、竹を組んで骨組みを作ってから土を乗せていく方法がとられていたそうです。そのさいに、窓にしたい部分にあえて土を塗らず、竹組を残して光を取り入れている窓を下地窓といいます。窓枠がなく、壁と一体になっているように感じられるのが特徴です。
連子窓
木材や竹などを連ねて作られた窓です。
竹を使ったものを竹連子と呼んだりもします。
墨蹟窓
床の間のわきの壁につくられた下地窓です。
外の光を取り入れて、墨蹟(床の間の掛け軸の筆跡)を見やすくする役割があるといわれています。

いかがだったでしょうか。
お茶室はわたしたちの普段の生活の場とは離れた存在ですが、難しすぎて全く手が届かないというわけではない、と個人的には感じています。
ここってこんな工夫がされているのか、お茶室って意外と身近な存在なんだと感じてもらえたら嬉しいです。
ぜひお茶室に足を運んでみてください。

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